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インタビュー

インタビュー 権利者の皆様の声
Q:まちづくり(再開発事業)をしようと考えたきっかけを教えてください。

私は、東日本大震災発生から間もなく福島県下の被災地に入って、半年間復興工事に携わり、その惨状を目の当たりにしてきました。

昨今、首都直下型地震の発生が懸念されている中で、糀谷は、狭隘な道路の周囲に木造住宅が密集し、もし、災害発生時のことを想定すると相当の被害から免れることはできません。地域住民の生命と財産を守るためにはどうすればと考えた時に、まちを整備し、災害に耐えうる建物を造ることが急務であると考えました。

大田区から14年前に、まちづくりの話があり、最初は駅前広場を作って、それに合わせてまちづくりをしようということでした。

この地域では、環状八号線が防災の骨格軸になっています。それに隣接しているこの地域を耐火、不燃化、高層化することで、建物は火災時の延焼防止帯という役割も果たします。もちろん住まわれる方が快適に住まわれるということが大前提でありますが、防災上の課題を解決することも大きなきっかけとなりました。

Q:理事長は、再開発事業を進める上で大切にしていることはなんですか。お聞かせください。

再開発事業は、多くの権利者の意見を伺って、不公平感がないように進めていく必要があります。

権利者は単なる数ではなく、一人ひとりの人間ですから、それぞれが言う意見の権利は命をかけて守ります、という信念を持ち続け、再開発事業のために、人と人との接点を希薄にしてはいけないということです。そのため、権利者の意見には真摯に耳を傾けて、事業に反映させて進めていく必要があると思います。私自身の意見や考え方もありますが、それは二の次として、皆の意見を聞き、事業を進めることを優先しております。

また、コンサルタントや事務局スタッフを信頼することも重要です。事業の遅滞の理由をコンサルタントや事務局スタッフに押しつけるだけではなく、権利者も最大限協力し、自ら動き、時にはねぎらいの言葉をかけ、気持ちを癒やしてあげることも大変重要なことです。事業も人がやっていることですから、信頼関係を醸成していかないと何事もうまくいきません。その点を大切に事業を進めております。

Q:最後に糀谷駅前地区第一種市街地再開発事業の総合コンサルタントとして、アールアンドディ新建築都市研究所とお付き合いしてみた感想と今後に期待することをお聞かせください。

本事業は、平成11年にまちづくり研究会が発足し、本体工事着工まで約15年が経過しております。権利者の皆様には、長期間にわたってご不安な状況にならざるをえなかったことを心より申し訳ないと思っております。特に都市計画決定から組合設立までに4年という長い時間を要しました。

また、事業の特徴として、多数の権利者の方、東京都、大田区、特定業務代行者、参加組合員の複数の企業と、非常に多くの事業関係者がいるということがあります。この事業が停滞している時期でも、アールアンドディ新建築都市研究所は、事業関係者の立場を良く理解し、その間を、事業の推進には何が大切かを軸として粘り強くコーディネーターとして調整をしておりました。一部の関係者の意向に偏って調整すると、長い事業期間の間に歪みが生まれます。これはそばで見て感じました。

photoこの事業を支える御社スタッフは力量、才覚、豊富な経験を元に、事業推進のかけがえのない原動力となりました。今後は、当地区のような難題の多くあった地区を着工まで導いたことに誇りと自信を持って、多くの困っている権利者を助けられるように、頑張ってもらいたいと思っております。

高橋さんはじめ、スタッフの皆さんとは事業完成後も、生涯の友としてお付き合いをお願いしようと思っております。